子どもにとって一番不幸なのは、親同士がパートナーシップの関係を解消することではありません。
それよりも、逆に解消すべき関係を解消せずに親が自分の人生を全うせず、あきらめてしまった夢や自己実現の願望を投影させられ、過剰な干渉によって子どもの人生をコントロールしようとしてくることなのです。
つまり、親同士が関係を続けることの正当性の証明責任を、子どもが暗に背負わされてしまうということなのです。
「育む対象(子どもや生徒など)」をいち早く(特に精神的に)独立させてあげることが「育む側(親や教師)」の一番大切な役割になります。
そのためには、「育む側」が「育む対象」を自分の付属物や自己実現の対象にしてしまってはならず、「育む対象」からは独立した個人として自分の人生を創造していく必要があるのです。
このあたりを誤解してしまい、例えば親が良かれと思って子どもに期待や関与を大きくかけすぎてしまうと、それがかえって子どもを親の価値観の呪縛に苦しめることになる。
ぼく自身がそうであったように、大人になってから、かなりきつい内面の旅を強いられることになるのです。
「子供のために○○している」という過剰な親の意識は、その裏に置き去りにされている自分の人生の保証や犠牲の見返りを求める叫びが含まれています。
たとえそれを言葉にしていなくても、子どもは自分に向けられた親の意識を精神的プレッシャーとして感じてしまうのです。
表面的な「良い親」「良い子」ほど、実は裏に大きな心の闇を抱えている可能性がある理由はここにあるのです。
特に人を育てることにおいて、物理的な関与が必要な場合もあります。
ですが、ある程度成長・成熟してくるにつれて、育てる側の役割は、物理的な関与から、信頼し見守ることへと移ります。
育てる側と育てられる側の関係が、「誰かの親(や上司)」「誰かの子ども(や部下)」という上下のある関係から卒業し、お互いが独立した人格のある対等の存在として、自分の人生の望みをそれぞれ追究する段階に入るのです。
特に子育てにおいては、第二次性徴期(10歳ごろ)からそのフェーズに入ります。
このタイミングで「見守る」フェーズに移行せずにいると、子どもは将来親の価値観に苦しめられることになります。
子どもが求めるものはもはや物理的な関与ではなく、自分の歩みを信頼を持って見守ってもらうことだからです。
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